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糖尿病性足病変Q&A

糖尿病性足病変とは?

糖尿病性足病変とは、糖尿病にかかっている人で、足にできた傷(切り傷などのけがの他に、水虫や、やけどなども含まれます)がもとになって感染、膿瘍、壊死となる状態をいいます。進行が早い場合も多く、いったんひどくなってしまうと、足を切断しなくてはならなくなる場合もある怖い病気です。糖尿病にかかる人の増加にともなって、患者数が増えてきました。

どうしてひどくなりやすいの?

糖尿病にかかっていると、感染に対する抵抗力が弱くなるため、足に傷ができると、そこから細菌が入り込んで増殖し、感染が起きやすくなります。さらに、いったん感染が成立すると、拡大するスピードが早いため、膿瘍(膿の溜まり)、壊死が急速に進むことがあります。また、糖尿病の人は、足の神経が障害される場合が多く、感覚が鈍くなります。そのため、足に傷ができても気がつかないことがあり、発見が遅れるため、ひどくなりやすいという特徴もあります。

どういう傷から悪くなるの?

・切り傷 例えば、爪切りなどで爪を切っていて、間違って皮膚やその奥まで切ってしまった傷から感染して発症します。
・巻き爪 巻き爪が食い込んで傷となった部分から悪くなる場合があります。
・水虫 水虫になった部分から細菌が入り込んで感染します。
・ウオノメ、イボ、タコ ウオノメ、イボ、タコの中に膿の溜まりができることがあります。
・ひび割れ かかとなどの皮膚がガサガサになってひび割れていると、そこから感染が起きることがあります。
・やけど 熱湯や油、ストーブなどによるやけどの他に、足の感覚が鈍くなっているため、湯たんぽ、あんか、カイロ、こたつ、など、通常ではあまりやけどを起こさないと考えられる原因でも、やけどが多く見られます。

など、たくさんあります。極端な例では、足に釘が刺さっているのを気付かずに、しばらくたってから来院するケースもあります。


ひどくなるとどうなるの?

進行が早いこと、発見が遅れること、などによって、感染、壊死が拡大してから、病院を受診する場合があります。抗生剤の治療や、膿瘍の切開治療、感染、壊死組織の切除などを行って治療をしますが、拡がりが大きい場合など、不幸にして脚、足、趾を切断しなくてはならない場合があります。改善する場合でも、治るまでに時間がかかることが多い病気です。

どのように気をつければいいの?

上述のように、いったんかかってしまうと治療に非常に苦労する病気ですので、かからないように気をつけることがいちばん大切です。以下の点に気をつけると良いでしょう。

1. 足を ”毎日” ”見る” 習慣をつける
足の感覚が鈍っていて、傷ができていても自分ではわからないことも多くあるため、足にいつもと変わった様子がないか、”毎日”、”見て”、ください。足をくまなく観察することは意外に難しいものです。さらに、糖尿病の人は、網膜にも病気が出ることが多いため、視力が落ちている場合があります。自分で充分に観察ができない場合には、家族の方など、周囲の人にもよく見てもらう必要があります。

2. 足を毎日 ”洗う” 習慣をつける
あなたは、毎日、足を洗ってますか? 顔や手や背中は毎日洗うけど、足は…? ”洗う”、動作は、”見る”ことにもつながります。足が汚れていると、感染の機会も増加します。意識して洗いましょう。特別な道具はいりません。石けんなどを付けて、汚れを落としてください。足趾(あしゆび)の間もきちんと洗いましょう。よく洗った後は、お湯で石けんと汚れをきれいに流し、水分が残らないようによく拭き取ることも大事です。また、足を洗うときには、軽石やかかと削りなど、硬くなった皮膚をこする(削る)道具は使わないでください。柔らかいタオルやガーゼを使いましょう。

3. 爪を切るときに気をつける
足の爪を切り過ぎて、皮膚やその奥の組織まで切ってしまい、そこから感染することは多く見られます。また、足の爪の切り過ぎ(深爪)は、巻き爪(陷入爪といいます)の原因にもなります。足の爪を切る場合には、爪の両側の角が、爪と指の接している部分からはみ出すぐらいがちょうど良い長さです。また、足の爪が、水虫や、様々な原因で、極端に厚くなったり、形がいびつになったりすることがあります。どのように処置してよいかわからない場合には、皮膚科医など、専門家に相談してください。

4. やけどに注意する
熱湯や油、ストーブなど、やけどの原因となるものに気をつけるのはもちろんですが、糖尿病の患者さんの場合、足の感覚が鈍くなっているため、通常ではあまりやけどを起こさないと考えられる状態でも、やけどになってしまうことがあります。

(例)湯たんぽ、あんか、カイロ、などを足に直接くっつけていて、やけどしているのに気がつかない
皮膚に直接熱源となるものを貼り付ける、くっつけるのは、絶対に止めましょう。湯たんぽ、あんかなどの場合、最初は身体から離しておいているつもりでも、場所がずれて、接触してしまったのに気がつかない、などということもあります。

(例)風呂の湯加減を確認せずに、熱すぎる湯に足をつけてしまう
普通ならすぐに足を引っ込めるところですが、感覚が鈍いために気がつかず、やけどしてしまいます。神経障害のため、足が冷えるからと、50℃以上の湯に自分から足を浸してやけどした人もいます。

その他、電気毛布、こたつ、などの温度調節は、高い温度には設定せず、時々足を出して見る習慣をつけましょう。

5. 足に合った靴を履く
きつすぎる靴を履いていると、締め付けられた部分が靴擦れになったり、水疱になったりしやすくなります。これも感染の原因となることが多い傷です。緩すぎる靴も、履いている間に足と靴がこすれて傷になりやすくなります。また、人の足は、むくみなどによって朝と夕方で微妙にサイズが変わります。スリッポンタイプではなく、ひもやマジックテープなどで調整できるタイプの靴にすると、変化に対応しやすくなります。靴を購入する際には、必ず自分で店に行って、自分ではいてみて、きつ過ぎたり、ゆる過ぎたりすることがないか、確かめてから買いましょう。

6. 足の皮膚の病気は、できるだけ早く医師に相談する
足の水虫はありませんか? ウオノメ、イボ、タコはありませんか? 水虫もウオノメも足の感染の原因となりやすい病気です。かかとの皮膚がガサガサになっていませんか? かかとのヒビからも細菌感染は起こります。これらの変化がもしあったら、お医者さんに相談してください。専門医によるきちんとした治療を受けることが、あなたの足を守る第一歩です。


どこで相談すればいいの?

当院では、外科が診療を担当します。上記のような症状でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

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